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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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大礼奉祝唱歌~平岡均之~賞金千円

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先日、図書館から「軍歌歳時記」(八巻明彦著、ヒューマンドキュメント社戦誌刊行会 , 星雲社(発売)1986)なる本を取り寄せて読んだ。例によって、何故取り寄せる気になったのか思い出せなかったが、関心の無くも無い歌が幾つか取り上げられていた。
 
「大礼奉祝唱歌」(高田精一/平岡均)という歌が目に付いた。タイトルからは“軍歌”と思われない。大日本帝国軍の統帥者である天皇の即位を祝う歌だから、広い意味の軍歌と見做したのだろうか。
 
作曲者名が問題だ。本当は“平岡均之”だ。
 
一  三種(みくさ)の神器(たから)うけつぎて
   天津日嗣(あまつひつぎ)の御位(みくらゐ)に
   我(わ)が大君(おほきみ)の即(つ)きたまふ
   かしこき今日(けふ)の大御典(おほみのり)
   祝(いは)へ、祝(いは)へ、いざ祝(いは)へ
二  悠紀主基(ゆきすき)の田の新稲(にひしね)を
      ~
 
難解な古語を散りばめた歌詞は、それだけ厳かに、有難く響いたことだろう。曲は、ニ長調(2♯)、4/4拍子、M.M.♩=96、20小節で、素直な明るいメロディーだ。前後奏は無いが、伴奏譜は楽しげに見える。
 
この歌は、以前、平岡均之について調べていた過程で見付けた資料から、文部省が昭和3年に歌詞及び曲を一般公募し、選定したものであることを承知していた。
 
上掲書においては、その時「明治節唱歌」と共に公募されたことが記されている。記述は「明治節唱歌」が主体で、「大礼奉祝唱歌」は付けたしである。前者が帝国の存続する限り歌い継がれるのに対し、後者は一回限りで用済みになる運命であることを本書も述べている。
 
しかし、応募第1位当選者への賞金は、両方平等に1千円(詞曲とも)だったそうだ。当時の1千円は(上掲書執筆時の)数千万円~1億円に相当するように述べているが、これは些か大げさではないか。
 
いくら、お国の歴史的記念行事とは言え、そのような大金を公募唱歌のために大蔵省が認めるはずが無い。我が推定では、100万~200万円くらいである。それにしても、大奮発であることは確かだ。
 
さて、その一回限りの消費で忘れ去られた「大礼奉祝唱歌」の音源が残されているらしい。聴くのが楽しみだ。
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