我が家でソバを食べるのは当方一人のみ、余の者はそば・アレルギーだとか、旨くないとかで口にしない。しかし、記憶によれば、十数年前までは全員が年越しそばを味わっていた筈なのだ。この間にソバ・アレルギー体質に変わったり、好みが変わったりするものか。イジメに遭っているのかも。
夕食には、年越しうどんと称する天ぷらうどんが出て、みんな旨そうに食っていた。そのツユ汁を再利用し、乾ソバを煮て食べた。十割そばなので煮汁も余すところなく腹に収める。放置して置いたミカンの皮が乾燥し、“陳皮”もどきになっているので、これも風味づけに利用した。なかなかイケる。
家人どもはうどんを喰った後はTVで歌謡番組(紅白という番組らしい)を見る。TVは食事中から点けっ放しなので、音はずっと耳に届いていた。どの歌手の歌も調子っぱずれに聞こえるのが不思議だ。皆さんプロなのだから、そんな筈はないのに。
“艶歌”というジャンルに馴染んでいないからかも知れない。流行歌とか歌謡曲とか言われた時代には好んで歌っていたものだが。
明治時代に、東京音楽学校の教師(お雇い外国人を含む)が地方に出張して、歌曲を聞かせたら聴衆が失笑したという話が当時の音楽雑誌に報じられている。当方の音楽趣味も、明治の地方人士並みと思われる。
年末年始の十日ばかり、歌う機会が無く、歌唱力の衰えが加速するのではないかと懸念される。TVの歌番組には寛容なのに、家庭内で歌うのはとんでもないという雰囲気があるのは、何故だろう。我が家の特殊事情とも思われない。日本家庭の伝統なのだろうか。読み物の中では、家族でハモるクリスチャン一家の話はあるようだが。