時ならぬ夏日の陽気に誘われて、と言う訳でもないが、皇居東御苑をちらと散歩した。先週、近くの地下鉄駅で突然思い付いて行って見たら“月・金は休園”と門前払いされ、本日再訪したものである。
外国人の入園が多い。観光案内書などで一見の価値ある名所と紹介されているのだろう。正真正銘の都心にありながら雑踏騒音から隔離され、よく手入れされた綺麗な庭園であり、自然のままのような雑木林もある稀有の一画である。“月・金は休園”とは勿体ない。年中無休で公開して、その有難さを国民に享受させるべきだ。
しかし、外国人にとっては、単なる広場、公園程度でしかないのではないか。皇居の一部であると告げられれば、観念的に畏敬の念を催すかもしれないが。
当方にとっては、この御苑は植物観賞の好適地である。なまじの植物園などよりも親切丁寧な案内板や樹名票が整備されており、お勉強になる。
今日印象に残ったのは、オガタマノキである。先ず目に付いたのは地上に散見される赤みを帯びた集合果(と言うのかな?)である。モクレンなどに似ていると思ったが、親木の名称は不明のままうろうろしていたところへ、十人程度の見学者を引き連れた案内人が来て解説を始めたお蔭で、オガタマノキと判った。よく見ると樹名票もついていた。
案内人が“これは≪招霊木≫とも書き、御神木~~”と説明していた。その知識を持って改めて地上に散在する集合果の断片を眺めていると、神事に使われる道具が連想された。その道具は、後で検索して、玉串とか神楽鈴であると確認した。
確かに似ている。≪招霊木≫とか≪御神木≫とか言われるのは、昔々、この木の集合果付きの枝が神事に使われたからではないかと想像された。真相はどうなのだろう。
近くの桃華楽堂から≪お神楽≫が聞こえた。