月刊誌≪世界≫が、フランスの月刊紙ル・モンド・ディプロマティーク (Le Monde Diplomatique) の記事から精選したと称する翻訳記事を連載していて、2014年4月号に、「血か出生地か金か―――国籍をめぐる歴史的転換」(ブノワ・ブレヴィッユ、訳:坪井善明)が載っている(pp.264-272)。いつものように独断で要約する:
“国籍概念は、19世紀末ヨーロッパでは、二つに大きく分かれていた。血統か出生地かであり、ドイツ派とフランス派に対応し、民族権と市民権の裏返しである。
国籍法は、移民の歴史、政治状況、人口状況、法的状況、外交関係などで揺れ動いて来た。
地理的に見ると、アメリカ大陸は出生地主義、ヨーロッパは制限的出生地主義、アジア・アフリカは血統主義の傾向がある。血統主義は外国人排除に利用されやすい。
二重国籍には禁止の歴史がある。国際緊張、戦争不安のもと、裏切り、スパイ、国家転覆の観念が強い状況下では無理も無い。
現在では、半数近くの国が二重国籍を容認している。二重国籍者には社会・経済的な有力者がおり、国際的影響力を有することを積極的に評価する考えがある。
イギリス 1949年、フランス 1973年、カナダ 1976年
ベルギー 2010年、イタリア 2011年、ドイツ 2013年
アフリカでも容認国増加
冷戦終結、戦争リスク低下に伴い、またグローバル化の進展の不可避の帰結として、二重国籍禁止はすたれることだろう。
現在、禁止国には、中国、日本、ウクライナ、イラン、タイ、ミャンマー、クウェート、アラブ首長国連邦などがある。”
マスメディアによれば、東京都の女帝は着々と地歩を固め、存在感を増している一方、野党の女領袖は国籍問題でケチを付けられて竜頭蛇尾の様相を呈しているが如き印象である。
圧倒的支持で野党の党首に選ばれた割には、些末な問題にうろたえたものだ。見掛けによらず、古い二重国籍偏見に捕われているようだ。
それにしても、ただでさえ非力な野党の足元をすくう輩が居るのは、恐ろしい。一党独裁を企んでいるのかな。