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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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我は海の子~宮原晃一郎~芳賀矢一 

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夏の唱歌、定番中の定番とも言うべき「我は海の子」について、某童謡の会の例会報に、歌詞を巡る逸話が紹介されている。「唱歌・童謡ものがたり」(岩波書店)より転載と記されているので、ここでは孫引きとなるが、要するに、作詞者は宮原晃一郎(1882-1945)であるとする説の紹介である。
 
ウィキペディアによれば、≪作詞者・作曲者ともに不詳。ただし宮原晃一郎(本名、宮原知久)(1882 - 1945年)の娘と芳賀矢一(1867 - 1927年)の義理の娘は、それぞれ自分の父あるいは義父が作詞者だと信ずると述べた。また宮原の原作を芳賀が改作したとする説もある≫そうだ。
 
インタネットで閲覧できる資料をざっと見た限りでは、作詞者は宮原か芳賀かの決め手は無いようだが、常識的な推測を以って判じるならば、宮原の原詩に芳賀が手を入れて完成したものではなかろうか:
 
官報 第7647號 明治四十一年十二月二十一日 懸賞募集新體詩審査報告 

“文イメージ 1部省二於テ曩ニ小學校用 國語讀本又ハ唱歌教科書ニ掲載ノタメ新體詩ヲ懸賞募集シタル(本年六月十、十一、十三日官報廣告欄内參看)ニ付キ~~審査ノタメ文學博士上田萬年、同芳賀矢一~~ニ委員ヲ嘱託シ審査セシメタルニ應募ノ歌詞総數千四百二十一首ニ就キ~~合計二十二首ヲ選出セリ~~其受賞人名左ノ如シ
 









第三部に「海の子」の作者として記されている≪宮原知久≫が≪宮原晃一郎≫だそうである。
 
本件調査の副産物として、当欄で≪文部省読本/黒澤隆朝≫と表記して来た「春を待つ歌」の作詞者が≪山本實嶺≫なる人物であるとほぼ判明した。上記審査報告において、宮原の「海の子」と並んで、山本の「春ヲ待つ歌」と「森林の歌」が佳作として掲示されている。

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