昨日は用務が幾つかあったので、暑い中を外出し、ついでに投票もした。投票所前で順番待ちの整理をしている掛かりの人に≪日陰に並ばせたらどうか≫などと、ついひとことお節介を焼いてしまった。齢を取ると遠慮が無くなるのだなあ。
今回の参議院選挙について、すっきりしない点をメモしておこう。いつものように衆愚政治に失望していることは繰り返さないで、新しい(と思う)問題点に絞る。
政党名「支持政党なし」 この党名標榜に胡散臭さを感じる人は多い筈で、マスコミでも取り上げられたことは救いであるが、規制当局の方が“問題無し”で片付けたこと、いわゆる有識者ないし学識者から特段の批判が為されなかった事に不安を覚える。
法令上、禁止条項に該当しないので問題無しと判断しているようだが、法令以前の問題が有る。法令に明文の規定が無いことには手(口)を出さないという保身本能で大過なく職務を全うする官僚の面目躍如である。
「支持政党なし」の語が、支持政党分類において定着していることに鑑みれば、“支持する政党は無い”という立場を表明する項目と勘違いして投票するケースが起こり得ることは想像に難くない。これは正に起案者の狙いであり、有権者を愚弄していることは明らかである。尤も、美人女優やタレントさんを候補に担ぐ傾向と同列かも知れない。
当方思うに、この党名問題には、論理学での「メタ言語」の問題が関係している。支持政党を表明する場合に、選択対象として列挙される政党名A,B,Cなどの中に、「この中には無い」という意味の項目が含まれてはいけないということだ。無い筈の項目がそこにあるという論理的矛盾となるからだ。
“何らかの記述をするための言語”が記述対象に含まれることで起こる論理の混乱であると言える。“何らかの記述をするための言語”が“記述対象言語”と表面上同一であるための混乱でもある。投票者各人がこの問題を認識していれば誤りは生じないが、それは無い物ねだりであるからこそ議論になる。
問題の党は数十万票を獲得したそうだ。その党の実体を承知の上で投票した人と然らざる人と、どのような割合だろうか。前者が多ければ、特別危惧することもないと一安心できる。
アンケート無回答 の候補が当選したそうだ。もともと有名人で、大政党の候補者名簿に登載されているので、当選は必然だったと思われる。しかし、これも有権者を愚弄すること甚だしいと言わざるを得ない。無回答理由が、≪アンケート元新聞社が嫌いだから≫とでもいうなら納得できる。≪政治家を目指して間もない人間が答えられるはずがないんです。これから勉強していきます。≫と言わせる我が国の社会は、何と大らかなのだろう。