今朝の朝日新聞の看板コラムが珍しく身近な問題を取り上げていた:
~▼外国の航空路線で少し前、座席の倒し方をめぐるトラブルが続いた。「急に倒されてスマホが割れた」「頼んでも戻してくれない」。後ろの客が前の客を殴って警察へ連行された。交通手段が高速化するにつれ、乗客の頭に血がのぼるスピードまで速まったのだろうか
▼鹿児島交通で長距離バスを運転する村瀬芳尚さん(39)はもめないよう一計を案じた。走り出してすぐマイクで語りかける。「後ろの方が気になって席を倒しにくいってことありますよね。後腐れのないよういま一斉に倒しましょうか。はいドーン」
▼効果はてきめん、~▼乗務マニュアルに書かれていたわけではない。「倒す倒さないでもめると、終点の福岡まで6時間ずっと雰囲気が重くなります。僕が声かけ役を一手に引きうけようと考えました」▼~全席を倒せないよう固定した社もある。だが乗る側の快適さでいえば、一斉ドーンの村瀬さん式のほうが格段に上だろう。費用はかからず警察沙汰にもならない。何より旅の気分が温かくなる。
バス運転手さんの思いつきは素晴らしい。最近の都バスでも、気の利いた車内アナウンスの板についた運転手さんがいらっしゃる。乗客の顔が自然にほころぶ。これが普通になれば、毎日の暮らしが楽しくなる(一助になる)だろうな。
乗り物の座席トラブルについては、当ブログで取り上げたことがある:
≪~背凭れに装着されたテーブル~使うのは後ろの席の客で、テーブルの出し入れ(上げ下げ)の衝撃が背中に伝わる。~
~背凭れを倒す(寝かせる)場合の後席への侵略がある。≫
当方の5年前の呟きは関係方面の関心を惹くに至らなかったようだ(当たり前)。「天声人語」が話題にすれば、それなりの影響があるのではないかと期待される。
しかし、結論のなまぬるいのは残念だ。運転手の声掛けで済ませようというのが安直ならば、全席固定のメリットを評価していないのも早計だ。
そもそも、背もたれを後ろに倒すのが当然であるかの如く認識しているのは、一種の偏見である。リクライニング出来なくて何か不都合があるだろうか。
電車やバスの車内アナウンスでは、着席しての膝や脚の投げ出しをしないよう呼びかけている。車内通行の妨げにならないようにという趣旨ではあるが、深く腰掛けて背筋を直立させることの奨めである。浅く掛けて背筋が曲がるよりは心地良いではないか。