明治・大正期の音楽家・高折周一が1912年3月から4月にかけてポトマック、ハドソン両河の桜植樹記念式において、その編曲になる「さくら」と「萬歳」を演奏したのかどうかという疑問(高折周一~「サクラ」楽譜~寿美子夫人歌唱 2016/4/12(火)、ニューヨーク・ハドソン川~サクラ植樹祭1912~... 2016/4/15(金))に結論を出せそうだ。
ポトマックで「さくら」と「萬歳」が(1912年3月27日)、ハドソンで「さくら」が(1912年4月28日)演奏されたとの記述はあるが、いずれも演奏者については触れていない。また、高折自身も在米中の活動記に植樹記念式を記述していない。特に、≪音楽界≫1914年1月号は高折記念号として、彼及び寿美子夫人の事績を網羅しているが、そこにも植樹式は出て来ない。
以上により、高折は植樹式で演奏していないと判断することにした。ただし、今後新たな資料により判断が覆る可能性が無い訳ではない。
ここに至るまでに、当時の新聞記事、高峰譲吉に関する書籍など、一般人の手の届く資料に当たってみたのだが、残っている情報も案外デタラメなことがあると思い知らされた。クロスチェックが欠かせない所以だ。