今月の施設訪問コンサートで、季節の歌の一つとして、加藤省吾/海沼実「みかんの花咲く丘」を予定している。先の敗戦1年後の1946年8月からずっと人気の童謡だから、歌う機会も多い。
当ブログでは、その元歌ではないかと推定される安藤一郎/弘田龍太郎「雲に寄せる」(国民合唱 1942.10)との絡みなどで何度か話題にした(2011/11/15(火) 2013/4/17(水) 2014/12/10(水) 2015/4/15(水))。
当然ながら、「雲に寄せる」の楽譜は繰り返し眺めて来た。今回改めて引っ張り出してみると、≪週報315号 1942.10.21≫からコピーしたメロディー譜に加えてピアノ伴奏付きの言わばフルスコアもあるではないか。いつ、どこで入手したものか、全く記憶に無い。
ネット検索で出典らしき資料を捜したところでは、国民合唱第四輯(日本放送出版協会 昭和18.3)
しか見当たらない。古本市で入手したのかも知れない。その現物が今どこにあるのか、資料の山を掻
き分ける気力は無い。
ともかく、改めてフルスコアを眺め、メロディーをなぞるのだが、どうも勝手が違う。老化現象で音
感も悪くなっているとは言え、記憶にある「雲に寄せる」がスムーズに蘇らない。やれやれと一息つ
いて譜面を遠ざけたとき、重大な見逃しの有ったことに気が付いた。途中で転調しているのだ。
“イ長調、前半は3/4拍子ワルツ風、後半は4/4拍子で勇ましく速い曲だ。”(2011/11/15(火))と記した≪後半≫が♯一つ増えてホ長調になっている。移動ド読みの当方、転調を踏まえて頭の中でメロディーを再生しようとするのだが、何故か上手く行かない。実に不思議なことだ。
暫く格闘するうち、これはミスプリではないかと気になりだした。週報版を確認すると、転調は無かった(♯は終始3個)。慎重運転で両方歌い比べると、どちらでもメロディーは大差無いように思われた。
伴奏を付した時にどのように聞こえるのか、これはピアノを弾いて貰わないことには、素人には見当が付かない。