Yahoo!ニュースの項目にあった≪がん検診で陽性99%は健常?≫には誰もがギョッとするだろう。そんな筈は無いと。本文の核心部分は次の通り:
≪胃X線検査では、がんがあれば90%ほどの確率で「陽性(疑いあり)」になります。
一方で、がんがなくても、およそ10%の確率で「陽性」と判定されます。
では、あなたが「陽性」となった場合、本当にがんがある確率は何%でしょうか?
1)90%
2)9%
3)1%
正解は、こちらです~~~3)およそ1%
わかりやすく言えば、「陽性」でも、およそ99%はがんではないということです。≫
(市川衛 | 医療ジャーナリスト2016年5月3日10時0分配信)
からくりは、次の引用資料にある。
大阪がん予防検診センターの調査 (1996年から2002年まで)
「検査陽性」のデータを横に見て、「計」40735のうち「がんあり」782の割合を計算すると、0.0192となり、1.92%である。ただし、設問に即して解答するには、本文で述べられているように、≪例えば胃がんであれば、新しくがんが見つかる人は、毎年10万人に140人くらいです(男性)≫という情報を基にする方が数学的と言えるだろう。
140 x 0.9 = 126 99860 x 0.1 = 9986 126 + 9986 = 10112
126 / 10112 = 0.012
という訳で約1%が導き出される。要するに、ガン患者がどれくらい存在するかが判らなければ答えは出ないのだ。それが与えられていない設問自体が数学的にはナンセンスなのだ。
それでも、この問題提起は面白い。カラクリを伏せられたままだと、真面目に問題と格闘して悩む人がいるかも知れない。なぜ1%になるのだろうかと。