かれこれ三十年ほど前、阿蘇(地域)の福祉施設をお訪ねしたことがある。帰り際に皆さんの作業生産品、高菜の漬物を買った。高菜は今でも我が家で人気の一品だ。ただし、産地はいろいろ、長野産が多いかも知れない。
熊本地震の報道に接する度に高菜を思い出すのだが、牛乳を出荷できず、捨てているというニュースにも胸が痛む。整備された感のある現代の生産流通網の盲点と言うべきか、リスク管理の甘さか、災害を想定した対策の欠如か。
恐らくは、大規模災害の度に問題は指摘されてきたのだろうが、その結果検討され、策定された危機管理プログラムなども机上のプランの域を出ないのか。救援物資は山積みなのに、それを必要とする場所、人に行き渡らないと伝えられている。
この機に便乗して、政治的議論のある米軍機を救援物資輸送に登場させて印象を良くしようとする輩もいる。不足しているのは、需要分布を把握する能力や、末端の目的地である避難所などへの配送能力だから、米軍機を出動させるのは、“Using an elephant gun to kill a gnat.”(牛刀をもって鶏を割く)の趣がある。
(公財)日本交通公社機関誌≪観光文化≫225(April2015)は特集≪観光の経済波及効果を高めるには―――地域の消費拠点に進化した「道の駅」に着目して≫を組んだ。
≪3 「道の駅」における地場産品活用の実態と付加価値向上策 川口 明子 P17≫の中の事例紹介④旬の地元食材の活用事例として「道の駅阿蘇」が取り上げられている。具体的に各種商品が列挙されている中に高菜は見当たらない。金額的に重みは無いのだろう。「あか牛」では牛丼、牛重が特記されている。