(当管理人的に)注目すべきもう一つのニュースは:
“「卑弥呼の鏡」は魔鏡、背面の文様を投影
邪馬台国の女王・卑弥呼 (ひみこ )の鏡ともいわれる三角縁神獣鏡 (さんかくぶちしんじゅうきょう )が、鏡面に光を反射させると背面の文様が壁に映し出される「魔鏡」の特性を持つことがわかり、京都国立博物館の村上隆・学芸部長が29日発表した。
国内の古代鏡で確認されるのは初めて。太陽を崇 (あが )める祭祀 (さいし )で光を操り、権威を高める役割があったとみられ、古代鏡の用途などを解明する糸口となりそうだ。
魔鏡と確認されたのは、愛知県犬山市の東之宮 (ひがしのみや )古墳(4世紀初め)で出土した2面(直径21~23センチ、重要文化財)。立体物を精巧に再現する3Dプリンターで復元模造品を作り、実験した。この日の記者発表でも、鏡に光を当てると、神像がうっすらと映し出された。
(2014年1月30日00時31分 読売新聞)”
魔鏡の存在及びその投影原理について、新聞の解説程度のことは知っていたが、疑問も持っていた。投影原理の説明は、例えばウィキペディアでは次の通りである:
“青銅で鋳造された研磨の際、ある一定以上の薄さまで鏡を研磨すると、鏡自体が手の圧力に耐え切れなくなり微妙にしなる様になる。鏡の裏側に文字や像など各種図形の凹凸の厚みがあると、しなり具合が厚みのある部分で異なり、研磨の際にごくわずかな凹凸を生じさせる。これが平面鏡の中に凹凸が組み込まれていく原理である。”
研磨作業の様子は知らないが、掌で鏡面を拭くものと考えると、鏡の裏側の図形(凹凸)に追随するほどの細かな圧力差(しなり具合)が生ずるものだろうか。箸の先で押さえるような場合なら、場所ごとのしなり具合に差が出ることはあるだろうと思われるが。
また、複製品での実験で魔鏡であることが確認されたとのことであるが、何故、本物で確認しないのだろうか。光を当てるだけだから、貴重な本物を損傷する心配は無い。マスコミへの発表の際には複製品を用いたが、研究室では本物を使って実験しているのだろうか。残念ながら、その点についての情報は無い。
投影させるには日光などの“平行光線”でなければならないような記述もよく見かける。室内照明の光線では鮮明な像は結ばないのだろうが、隠れキリシタンが密かに礼拝していた状況を想像すると、平行光線は利用できなかったと思われる。光源はろうそくの明かりだとすると、十字はともかく、マリア観音のお姿は拝めなかったのではないか。
あるいは、魔鏡にも投影原理の異なる種類があるのか。