が、合唱の趣味を始めた結果、歌の教則本とも言うべき「コンコーネ」とやらを持たされたことがある。全部で50の歌唱練習曲が収められていた。当然ながら初めの方は簡単に視唱できた。
(脱線するが、かつて「視唱」なる言葉を思いついて気に入っていたところ、既存の音楽用語であることが判り、びっくりしたことがある。更に後に、意味不明だった“ソルフェージュ”が同義語らしいと知った。)
番号が大きくなるにつれて、苦労するようになった。結局、13番だか15番あたりでコンコーネを使うお稽古は無くなった。
未だ合唱を始めていなかった昔から“コールユーブンゲン”なるものの存在も知っていた。何故そんなものを知っていたのか定かではない。
実際にそれを使って歌のお稽古をしたことも無かったのだが、最近、古書市で安く売っていたのを買った。原著者はフランツ・ヴュルナーというドイツ人だそうだ。
その中に“数字譜”を見付けた時は、心底驚いた。何故かと言えば、“数字譜”とは、日本に西洋音楽が導入されて間もない頃、慣れない五線譜の代わりに便宜的に考案されたものだとばかり思い込んでいたからだ。
とんでもない思い違いだった。ひとつ賢くなったような気がして、嬉しくなった。