都心の、とある大学構内片隅に立つ高木、数年前に小さな果実を着けることに気が付いた。先日思い出して再訪したところ、懐かしい木の実たちが樹下にびっしりと落ちている。虫食いが殆ど見受けられない。よほど不味いものと思われる。
直径2cmくらいの、ヒメリンゴ程の大きさで、見た目もリンゴあるいはナシを小粒にしたようだ。全面に黒っぽい斑紋が入っており、部分的に赤く色付いている。実は固く締まった感じで、重みが有る。重さを計ったら、1個約11grであった。
縦に包丁を入れ、二分、四分して見た。断面が美しい。きれいに種子が鎮座している。虫は、外見通り、侵入していないようだ。思い切って味見をした。酸っぱく、強い渋みがあった。とても、そのままでは食用に適しない。ただし、完熟した暁には如何なる美味を呈するやも知れず、不可食と断ずるのは早過ぎる。
検索を試行錯誤の結果、この果樹は、コナシ、ヒメナシ、ヤマナシなどと呼ばれるものであるらしいと結論した。意外にも、盆栽として人気があるらしい。果実を食べる話はあまり無いようだが、もう少し観察、試行を続けよう。