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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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横浜開港五十年記念市歌~文豪森鷗外クン~継承百年余

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写真雑誌「グラヒック」から、もう1件、横浜開港五十年記念市歌の記事を紹介しよう(1巻12号、明治42年)。縦型B4の1ページの上半に祝賀会正副委員長4氏の写真と次のような記事:
 
“横浜開港五十年祝賀会 
安政6年横浜村を開きて内外の互市場となしてより以来已に半世紀を経たり時間に於いて我開国以来の年数に較ぶれば真に一瞬の間に過ぎずと雖も国勢の推移時世変転の甚だしき実に史料内容の豊富なる事過去三千年の歴史を覆ふべきものあり今明治42年7月1日を以って横浜市が開港50年を記念すべく盛んなる視祭を挙行するに至りしもの頗る事宜に適したり。~
 
此の如くして此の港発達の第一期は満足に視さるゝ事を得たり吾人は之を以って将来百年記念祭の行はるゝ時代、帝国の隆盛横浜港の繁栄が更に大に世界の耳目を聳動すべきものあるを疑はざるなり。”
 
ページの下半に横浜開港五十年記念市歌の楽譜と簡単な説明および歌詞が掲載されている:
 
“作歌は文豪森鷗外氏作曲は東京音楽学校教師南能衛氏にして記念祭当日全市小学児童をして唱歌せしむる筈なりと
 
わが日の本は島国よ
朝日輝ふ海に
連り峙つ島々なれば
あらゆる国より舟こそ通へ
 
されば港の数多かれど
此横浜に優るあらめや
むかい思へば苫屋の烟
ちらりほらりと立てりし處
 
今は百舟百千舟
泊る處ぞ見よや
果なく栄えて行くらん御代を
飾る宝も入り来る港”
 
肖像写真のキャプションは“横浜市歌の作者森鷗外君 Mr. Ogai Mori, composer of the song”となっている。文豪でもクン呼ばわりされている。当時のクンは、今より重みが有ったようだ。
 
“市歌の曲譜”としていわゆる数字譜を載せている。ト調2/4で前奏8小節、そのまま第1連、4/4で第2連、元(第1連の譜)に戻って第3連と、凝っている。
 
数字譜は解りにくいので、横浜市のHPで五線譜を見ると、変ホ長調(3♭)に下げられている。最高音がドなので、原譜のミより、かなり歌い易い。しかし、古風な歌詞はそのまま受け継いでいる。漢字や仮名は現代風に修正している。今でも小学生に歌わせているそうだ。
 
記事中、50年後の百年祭に言及しているが、開港百年祭(1958年)は勿論、百五十年祭(2009年)も既に過ぎている。
 
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