今朝の新聞記事で特に目に付いたのは、“今次戦争”なる表現だ:
“朝日新聞 若き夫、104歳での「戦没」(8月16日)2015/8/16, Sun 07:24
戦時中、外地で行方不明となり戻らぬ「未帰還者」が今も295人います。104歳になるその1人に今年、「戦時死亡宣告」の手続きがとられました。待ち続けた妻の思いとは。
〈今次戦争による生死不明者に対し、戦時死亡宣告の申し立てがありました〉
先月10日付の官報に、戸籍上104歳になる、ある男性に関する仙台家裁の告知が掲載された。”
戦時死亡宣告は、家族の同意を得た国が申し立て、未帰還者を死亡扱いにできる制度で、未帰還者が3万人を超えていた59年、「最終的戸籍処理」と位置づけて導入したという。
日本の無条件降伏(1945年)に終わった“先の戦争”を“今次戦争”と言い慣わす告知様式が未だに生きているとは驚きだ。様式として定められているのかどうか調べきれないので、あるいは先例踏襲かも知れない。
この二日間に各方面から、敗戦七十年の“談話”が発表された。報道で見ると、“今次戦争”を当管理人流に“先の戦争”と呼ぶのが普通のようだが、首相は“先の大戦”と言い、天皇は“さきの大戦”と平仮名使いだ。ちなみに、天皇の談話は“お言葉”と称する。
首相談話の“先の大戦”は、新聞に併載された英文で見ると、単に the war と訳されている。ついでに天皇のお言葉の“さきの大戦”を宮内庁HPの英文でみると、the last war となっている。首相談話の英訳よりは気を遣っている。いずれにしても、“大戦”のニュアンスは出ていないと思うのだが、これが常識なのかな。
こんな調子だと、国内で一言一句あげつらっていても、国外に発信される非日本文には影響が及んでいない可能性も考えられる。