先だって、北国の《さくらの会》に顔を出した日の夜、無聊を慰められるかもしれないと、TVチャンネルを巡回していたら、≪風土記選 奥の細道 芭蕉が見た“天の川”≫なる番組に遭遇した。
これは願っても無い幸運と、日頃TVとは無縁の身ながら、熱心に最後まで試聴した。良く知られた俳句の紹介を交えつつ、故地の風物など贅沢に映し出していて、大いに好奇心を満たされた。
ところが、肝腎の“天の川”に関して、2年前に当ブログで気の利いた記事の積りで書いた内容を真っ向から否定するような映像を見てしまった。
“虚構性は、「天の川が佐渡島の上に横たわる」という内容に表れているとも言われる。「横たわる」のは、横長の佐渡島に平行に、すなわち水平に見えることを意味すると思われるが、実際には、天の川は佐渡島に突き立つように見える筈だというのである。
確かに星空シミュレーションの画面では、出雲崎から佐渡島方向を見ると、その稍右手に天の川が縦に見えるようである。”
番組で、プラネタリウムの専門員(当然、天文に詳しい人)がシミュレートした天の川は、ちゃんと横たわっていたのだ。
こうなると、2年前の我が記事の信憑性を改めて吟味しなければならない。その時と同じく国立天文台の≪今日のほしぞら≫ページで、芭蕉が‘おくのほそ道’巡行中にこの句を詠んだ8月18日(新暦)の夜(8時)の新潟市の北の星空を出してみると、天の川は水平線から突っ立って見えた。
ここで作業を終えてしまっては意味が無い。問題があるとすれば、空を見る方角と時刻であると思われたから、北だけでなく西にも目を向け、また8時だけでなく、深更までシミュレート画面を動かしてみた。
それで判ったことは、水平線付近だけでなく、全天を視野に入れれば、天の川は横たわっていると形容してもおかしくはないということであった。考えてみれば、これは当たり前なのだ。良く考えずに、書きたいことに都合の良いデータを見た段階で思考停止したのが愚かだった。
という訳で、恥ずかしながら、2年前の記事を訂正しなければならない。