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クルーグマンマクロ経済学②~日本のデフレ~インフレ誘導

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「クルーグマンマクロ経済学」(2015/2/11())でもう一つ目に付いた項目は、《第16章 インフレ・ディスインフレ・デフレ》における日本経済への言及である。IMF資料を基に、次のように記述する:
 
“1990年代を通じて日本はデフレに陥っていた。日本銀行はコールレートを引き下げることでデフレと戦おうとした。けれども1998年にはコールレートは0%近くになり、2004年には実際にゼロ下限となった。日本は流動性の罠に陥ったことを知った。貨幣供給量を拡大する余地はなくなった。”
 
そして、日本は利子率を切り下げることで経済を刺激することができなかった。それが1990年代に日本が大規模な拡張的財政政策を利用した理由の一つだと解説する。 
 
してみると、日本政府と日銀はほぼ20年前からデフレからの脱却を目指して景気拡大に努めているわけだ。金利はゼロ下限に張り付いており、また、財政収支の改善という拘束条件のもとで。
 
経済の量的拡大しか眼中になく、ひたすらGDPの数値に一喜一憂する旧体質に凝り固まっているように見えるのは、新聞などの論調も同様だ。政治面での翼賛の風潮が社会経済文化面にも及んでいるのだろう。経済指標として物量だけでなく、精神的満足度ないし幸福感をも加味した総合的な指標を採用する気運はいつの間にか消えてしまったのか。
 
ところで、前にも疑問を呈したことがあるが、日銀が景気刺激に積極的に行動するのは、やはり余計なお節介ではないだろうか。「我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うこと」および「銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資すること」が日銀の使命なのだ。経済動向を調節しようというのは、おこがましいのではないか。
 

もっとも、政府の鼻息の掛った幹部が揃っていれば、その御意向を汲んで自発的に協力しようとするのは自然の成り行きだ。

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