「クルーグマンマクロ経済学」(東洋経済新報社 2009.4.2)を姉妹書である「クルーグマン ミクロ経済学」(2015/1/25(日))に続けて借り出したのだが、やはり、きちんと読むには大部過ぎて、結局パラパラめくりながら項目を流し見る程度に終わった。
目に付いたのは、「ミクロ」同様、日本経済の経験に注目していることだ。
例えば、第12章財政政策において《無意味な橋》の見出しで、明石海峡大橋(中央支間長1.99km、全長3.91km、工費74億ドル、1998年竣工)を紹介している。“無意味”と言うのは、いわゆる費用対効果の観点からの表現である。
同橋の自動車通行量は4000台/日であり(橋の管理者の公表資料では、最近の実績は約3万3千台/日となている。)、ヴェラザノ橋(ニューヨーク、スタテン島とブルックリンを結ぶ)は30万台/日である。この手の無駄な公共事業は、日本ではよくあることで、1990年代にインフラ整備に投じられた金額は1兆4千億ドルに上ると述べる。
建設されたインフラ施設の有用性については疑問が多いのだが、事業の主目的は総需要を支えることにあった、と言う。経済運営の点から理解を示しているわけだ。
しかし、政府としては、そのように正直一点張りでは世論の賛同を得られないので、費用対効果の観点からも正当であるとする計算を示して実行する訳だ。
事後の実績など検証する気は無い。と言うか、計算は、前提の置き方でどうにでも結論を導く事が出来るので、何も心配は無いのだ。