昨夜から今未明にかけて、台風で騒々しかったが、天気が荒れ始める前に岩崎邸(台東区)でのミニコンサートを聴いてきた。洋風豪邸の客間で、いっとき貴顕淑女の仲間入りをした気分だった。
《ドイツ歌曲》 メゾソプラノ 吉成文乃、ピアノ 畠山正成
1 シューベルト 「菩提樹」
2 シューベルト/リスト 「糸を紡ぐグレートヒェン」(ピアノ・ソロ)
3 シューマン 《女の愛と生涯》から
1 彼にあって以来
3 分らない、信じられない
5 手伝って、妹達
6 愛しい人、貴方は私を見る
8 今、貴方は初めて
4 シューベルト 「野ばら」
元々ドイツ語を専攻し、ウィーン大学で音楽を修め、更に藝大で声楽を専攻しているとあって、吉成のドイツ語発音は参考になった。彼女は勿論発音に自信があるから、「野ばら」を歌う前に1節を朗読して聴かせた。
その吉成でも、Röslein の発音にはかなりの揺れがあった。時には“ルースライン”と聞こえた。先日のランチタイムコンサートでは終始モロに“ルースライン”だったのに比べれば遥かに立派が。それほど“ ö ”は難しいのだろう。
彼女自身が作成した歌詞対訳が配付され、自宅でしっかり味わうようにと、主催者である公園協会職員からの親切な御指示もあった。しかし、ミスプリなどが散見されるので、対訳ではなく、日本語訳を参考にしてドイツ歌曲をじっくり味わうようにとのご趣旨と取りたい。
終演後、庭園内を見て回った。広い芝庭は圧巻だ。天気が良ければ、ここでコンサートを開く予定だったのだ。小雨模様で、残念だった。周辺に散りばめられた銘石群も迫力十分だ。さすが、M財閥総帥の居宅だけのことは有る。もっとも、他の億万長者の豪邸がどの程度のものか、見たことも無いので、あまり知ったかぶりをしては、恥を掻く。
庭木も当然見事に繁っており、大木が多い中に、中木のモッコクが結構存在感を示して居た。職員の言によれば、岩崎庭園で最も本数の多いのはモッコクだそうだ。