以前、信時潔作曲の「沙羅の木」の楽譜について書いた(信時潔版「沙羅の木」~手書き譜陰影版~「ガザの木」 2013/4/29(月))。最近漸く手書き譜のボヤけた画像の声部の判読を終え、五線をなぞったりして、何とか歌唱用の楽譜を作った。
残るは伴奏部で、こちらは音符が細かく記入されているので、最初から諦めている。ただし、ピアニストには判読も容易なのではないかと想像する。旋律と伴奏との間には、専門家ならばごく自然に想定する法則性が在る筈だから。
素人には無理だが、音源を聴いて伴奏譜を書き起こす方法もある。しかし、楽譜が出版されていないのだから、その演奏の録音など在る筈が無い、と思い込んでいたところ、何と身近の図書館でCDを見付けた。
十年以上前に発売されていた。思い込みに捕われず、愚直に検索していればとっくに、信時版「沙羅の木」の演奏に接することが出来たのだと、またまた反省を噛み締める。
とにかくしっかりとした音源を入手したのだから、先に作った歌唱用の楽譜をチェックする事が出来る。近いうちに取り掛かろう。
ところで、信時は「沙羅の木」を作曲して、どうする積りだったのだろう。なぜ出版されなかったのだろう。手書き楽譜がなぜ森鷗外記念館の所蔵となっているのだろう。
推測すれば、信時が鷗外に楽譜を見せ、そのまま鷗外の許に留め置かれることになったものか。そもそも、両者は交友していたのか。鷗外が60歳で没した時、信時は満34歳だった。
森鷗外(1862年2月17日 - 1922年7月9日)
信時潔(1887年12月29日 - 1965年8月1日)(ウィキペディア)