梅雨が小休止で爽やかな午後、図書館へ返却・借用に出掛けた。往きには近所のお寺の境内で落梅を拾った。虫食いの無さそうなものを選ぶ。大体6~7個止まりだが、これって、厳密には、窃盗罪に問われる可能性があるのだろうな。
その筋から目を着けられている場合には、格好の口実を与えることになるから、自制しなければならない。幸か不幸か、それほどの大物でもない身、いつも公然と、かつ、平穏に拾わせて貰っている。
その梅の実をどうするかと言えば、一部は齧って味見をし、残りはジャムにする。その手の保存食品が家内のあちこちに死蔵されているのが実態だ。作ったことで満足し、忘れることが多い。
図書館で青島広志/編曲「甦った歌 女声合唱版日本の愛唱歌」を受け取っての帰り道、とあるマンション前に通りかかると、犬の吠え声が聞え、何気なく見遣ると、2階の手すりに大きなカラスが一羽止まっている。珍しくも無い光景だが、殺気を感じた。
立ち止まって眺めると、小さな飛行物体がフラフラと離れていくのが目に入った。カラスの視線はそれを追っているようだった。蝶のような飛び方だが、大きさからして、小鳥、恐らくはスズメほどの大きさの小鳥だと思われた。カラスに襲われて既にダメージを受けているものと想像された。
カラスは落ち着いて獲物の行先を見定めているのだろう。その、小鳥らしき獲物が広い車道の分離帯の樹木の方に飛び始めると、カラスはすかさず追い掛け、難なくそれを捕獲した。近くの高い電柱の上で獲物を啄み始めた。小鳥の羽が風に舞い、流れて行った。
同じ大通りに、非正規植栽の果樹があり、梅か桃の類いと思われる1本が今年も順調に実を着けていた。北国へ出張する直前には、間もなく収穫適期という風情に色づいていた。
今日通りすがりに眺めると、果実はすっかり無くなっていた。路上に一つも落ちていないので、風雨で落ちたのではなく、人手で収穫されたことは明らかだった。しっかり目を着けている同好の士がいるのだ。それでも、下からは見えにくい所に、2,3個お目こぼしのように残されていた。