つい最近、新聞で「あゝ東京行進曲」という演劇(?)の記事を目にした。同名の小説を基にしており、それは流行歌手の元祖と言われる佐藤千夜子の伝記であると言う。
彼女の伝記なら、昔読んだ記憶がある。そのタイトルや著者までは思い出さなかったが、気になったので検索してみたところ、まさにその小説であると判明した:
結城亮一「あゝ東京行進曲」河出書房新社 1976
読んだのがいつだったか、これも定かではないが、多分十数年前だろう。内容は比較的よく覚えている。山形県の田舎の駅からアメリカの女性宣教師に連れられて上京し、歌手になり、スターになり、欧米にオペラ修業に行ったが躓き、帰国時には活躍の場も失われ、戦後貧窮のうちに亡くなったという一生が劇的に描かれていた。
これを原作としてNHKのいわゆる朝ドラにも取り上げられ、「いちばん星」というタイトルで1977年に放送されたという。もう41年も前のことだ。朝ドラそのものは視聴したことが無いが、ウィキペディアによれば主演女優が途中で高瀬春奈→五大路子と交代したとあり、このことは何故か覚えていた。
そのころから歌謡曲には強い関心があったのだろう。その後、佐藤千夜子の伝記を読んだのも、恐らく彼女の歌唱音源をラジオ番組で耳にし、印象が強かったことに影響されたのだろう。彼女の独特の歌声が懐かしい。
それで、今何故「あゝ東京行進曲」なのだろうかと気になったのだが、佐藤千夜子の生没が≪1897年3月13日―1968年12月13日(71歳)≫であることで納得した。没後五十年なのだ。今日がその命日だ。
ところで、「東京行進曲」とはどんな曲だったのだろう。文脈からして、千夜子の代表的なヒット曲の筈だが。これから聴いてみよう。