「素数ものさし」なるものが2,3年前話題になっていた。京都大学の生協売店で売っているそうで、商品説明は次の通り:
≪「素数にしか目盛のないものさし」。不便益システム研究所が2012京都大学サマーデザインスクールでクラスの一つを担当し、そこでクラスの皆さんから出たアイデアを、商品化してもらったものです。≫
未だ手にしたことも、見たことも無い。どんな用途に供されるのか直ぐには思い付かない。直線定規の単なる装飾として素数を利用した奇抜性を売りにしているのかも知れない。
ところが、「素数鉛筆」とでも言うべきものが以前から存在しているらしい。
ヴィッキー・ニール「素数の未解決問題がもうすぐ解けるかもしれない」(千葉敏生/訳、岩波書店 2018.10)を読んでいたら、“私の数学鉛筆”として鉛筆の軸側面6面に99までの自然数を書き込んだ図が載っていた。
六角形断面の見える端を左にして一つの側面の左端に「1」、次の側面に「2」、また次の側面に「3」と順次整数を書き、1回転したら「1」の右に「7」と書き、以後同じように軸を回転しながら整数を1個ずつ書き込んだものである。右端の数字は「97」「98」「99」で止めてある。
結局、「1」の側面には 1 7 13 19 ………. 97
「2」の側面には 2 8 14 20……… 98
「3」の側面には 3 9 15 21……… 99
「4」の側面には 4 10 16 22……94..
「5」の側面には 5 11 17 23……95
「6」の側面には 6 12 18 24……96
と印字されていることになる。そして、これら数字のうち、素数は白、非素数は黒に色分けされている。
このデザインの数表から、素数は 6n+1 か 6n-1 のいずれかに分類されることが一目で解ると言うのである。
確かにその通りであり、その証明も直感的に解る。
こんな面白い商品が世にあるとは愉快だ。ネット検索ではヒットしなかった。“prime pencil”や“pencil with primenumbers”で出てくる鉛筆はあるが、別物である。