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ゴーン氏報酬過少申告② ~ 監査の限界 ~ 投資目的の粉飾

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日産ゴーン氏不正事件に関し、企業監査の面から問題追及は無かったのか疑問を呈したのが1週間前(有価証券報告書報酬過少申告監査無力2018/11/20())のこと、今日漸く日経新聞に関連情報が載った:
 
≪監査法人、日産に疑義指摘 11年ごろから複数回 「オランダ子会社、何のために…」
2018/11/26付 日本経済新聞 夕刊
日産自動車のカルロス・ゴーン元会長(64)の報酬過少記載事件で、ブラジルなどの高級物件の購入に使われたオランダ子会社「ジーア」について、日産の監査法人が「投資実態などに疑義がある」と指摘していたことが26日までに、関係者の話で分かった ~
 
関係者によると、日産は2010年ごろ、資本金約60億円を全額出資してオランダに子会社「ジーア」を設立。社内会議では、ベンチャービジネスへの投資が目的と説明された ~
 
このジーアについて、日産の監査法人から「設立趣旨に沿った投資活動が行われていないのではないか」「会社が何のために使われているのか分からない」などと11年ごろから複数回、疑念が示されていたという。
 
これに対し ~ 日産側の説明に一定の合理性があったことなどから、それ以上の追及はなかったという。
 
ジーアは租税回避地に孫会社を設立してブラジル・リオデジャネイロの高級マンションを購入。別の孫会社を使ってレバノン・ベイルートの高級住宅も購入し、ともにゴーン元会長の自宅として無償提供されていたとされる ~ ≫
 
この記事によれば、日産の全額出資子会社の投資目的や業務内容について疑問有りと追及を受けたが、うまく監査人を言いくるめたようである。端的に言えば、会社側はジーア社の内実を偽って説明したのだろう。ゴーン氏の隠し報酬を炙り出す事は無かったと思われる。
 
兆円規模の企業における数十億円の投資先について、その事業実態を監査人が詳細に調べ尽くすことは、通常は無いだろう。余程重大な疑念を生じない限り、会社側の説明に整合性があれば、問題無しとして処理するだろう。説明が虚偽であっても、監査側がそれを疑う材料を持たなければ、説明は通るということだ。
 
監査がこの壁を突破するには、どのような手段があるか。一つは、単純に会社側の説明の根拠ないし証拠を辿ることである。理論的には、ごまかしようの無い証拠資料に辿り着くまで調べればよい。
 

監査が、ジーン社の業務実績を正確に、具体的に把握するまで徹底していれば、ゴーン氏の隠し報酬を摘発できたかもしれないが、高望みだろうか。


監査としては、別のアプローチがあったかもしれない。


監査人から“11年ごろから複数回、疑念が示されていた”というのも、惜しまれる。もうひと押ししていれば、と。









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