ボランティア合唱団の一員として、デイサービスなどを行う介護予防拠点を訪問した。演目はこの秋のコンサートにほぼ共通のものである。お客さんは通所の方々なので、皆さんお元気で、唱和する方が多い。
今日の特記すべきハプニング3件:
歌い出し失敗:当方以外のメンバーが、前奏に聞き惚れたのか、歌い出さなかった。一瞬、フライイングを犯したかと思って、声を引っ込めた。指揮者がしまったという表情を見せたが、お客さんには判らないのが不幸中の幸いだ。キーボード奏者に目配せしつつ、アクションを付けて歌い出しをリードした。
何故、他のメンバーが出だしそびれたのか不思議だったが、後で考えると、皆さん指揮者の合図に頼る癖が付いていたのだろう。指揮者をよく見なさいとは言うものの、歌い手としての自立性も必要だろう。この時は指揮者が歌い出しの合図を出さなかったものと思われる。
ということは、当方は指揮者を見ていなかった訳で、これもあまり褒められない。痛し痒し。
歌詞失念:この指揮者は自分のソロを必ずプログラムに入れることにしており、今季は「メリーウィドウワルツ」である。歌い始めて間もなく、突然後ろ(合唱隊の方)を振り向いて“しまったと”いう素振りをした。苦笑いを浮かべながら、それでも歌い続ける。今度はお客さんに向かい合ったまま何か言い訳を挟んだ。当方は気付かなかったが、歌詞を間違えたり、忘れたりしたのだった。
それでも中断すること無く、キーボード伴奏者にも合図しながら一応歌い収めたのだから、場数を踏んだだけのことはある。
絶対音感?:プログラム最後は「もみじ」で、会場のお客さんも張り切って歌おうとの意気込みが伝わる。中のお一人が早々と口ずさみ始めた。やがて前奏が鳴り響くと、気の早いお客さんの歌声と同じ調だった。これには度肝を抜かれた。我々合唱団にも欠ける絶対音感の持ち主なのか、とビビりそうだった。
しかし、彼の歌声そのものは普通のお年寄りの頼り無げなものだったので、調の一致は多分偶然だろうと思った。それにしても腑に落ちない、と暫く考えて、思い当たったのは、直前に聴いた歌の音階が反映されているのではないかという可能性であった。
「もみじ」はフラット1個のヘ長調であった。その直前の演目は「メリーウィドウワルツ」で、その楽譜は合唱隊には配付されていない。帰宅して所蔵の楽譜を確かめると、ヘ長調であった。彼女がこの調で歌ったという確証はないが、取り敢えず結論としておこう。原調はト長調のようだが、これも確証が無い。