ハワイ・マウナケア山頂のすばる望遠鏡が停電で運用停止となっていることについての同観測所発表(第1報)を取り上げて半月経った(すばる望遠鏡~大規模停電~無停電電源 (... 2018/9/23(日))ことに気付き、所管する国立天文台のサイトをチェックした:
マウナケア山頂域の大規模な停電による共同利用観測への影響について (第二報) 2018年9月27日 (ハワイ現地時間)
~ ハワイ観測所では現在、緊急対策を実施しており、作業にはなお 10 日間程度の日数を要する見込みです。これを受けて、少なくとも現段階ではハワイ時間10月7日までのすばる望遠鏡共同利用観測を中止することにしました。その上で10月8日から、その時点で運用可能な観測装置を用いて共同利用観測を暫定的に再開することを目指しています。 国立天文台ハワイ観測所長吉田道利
マウナケア山頂域の大規模な停電による共同利用観測への影響について(第三報) 2018年10月3日 (ハワイ現地時間)
~ その後、UPS に関する仮復旧作業が迅速に進められ、望遠鏡を部分的に運用できる状態になったため、10月2日の夜から、高分散分光器 HDS を用いて共同利用観測を暫定的に再開しました。
ただし、UPS は本格的に復旧していないため、一部の観測装置交換に制限があります。本格的な復旧にはなお時間を要する見込みです。 国立天文台ハワイ観測所長吉田道利
第1報で、“10月1日までの共同利用観測を中止することにしました”と次段階のめどを示していたので、2日から“高分散分光器 HDS を用いて共同利用観測を暫定的に再開”したのは同慶の至りである。
暫定再開が“高分散分光器 HDS を用い”てと、具体的細部の情報を明記しているのに対し、運用停止の原因とされる“停電に伴い、すばる望遠鏡本体に電源を供給する無停電電源 (UPS) が正常に機能せず~”の調査結果などには一切触れていない。公衆向けの報告にはそのような情報は必要無いとの意識があるのだろう。
第3報は“UPS は本格的に復旧していないため、一部の観測装置交換に制限があります。本格的な復旧にはなお時間を要する見込みです”と結ばれている。後段の“本格的な復旧”がUPSを指すのか、観測装置本体を指すのか不明だが、とにかく観測の全面的再開が先送りとなった事が判る。
第2報で示された“10月8日から、その時点で運用可能な観測装置を用いて共同利用観測を暫定的に再開することを目指し”との見込みは取り消されたと思われる。
それにしても、停電に備えての非常用設備である筈の「無停電電源 (UPS)」が“停電に伴い機能せず”の意味とか、停電前(当然UPSは作動していなかったと想定される)には観測装置本体が運用されていたのに停電解消後に運用できないのは何故かなどの疑問が消えない。
論理的に思いつく事として、UPSは常時何等かの機能を働かせていて、観測装置本体の運用を支えているところ、停電により当該機能が損なわれるという想定外の事態となったのかも知れない。
停電時に常用電源を代替するべきUPSの機能が停電で損なわれるなどということがあるとすれば、設計の根本的な瑕疵と言わなければならない。
いずれにしても、公表情報だけでは、雲を掴む感がある。