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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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星を継ぐもの② ~ 思考実験 ~ 2029年11月20日

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ホーガン「星を継ぐもの」を読み終えた。
 
科学推理小説とでも言うべき作品であった。推理の素材である事件やその解明に当たる人や組織の動きなどが詳細に叙述されていて、それらを一々咀嚼していては読速が落ちるので、それは犠牲にし、とにかくドラマの展開を楽しむことに徹した。それでも昨日、今日と二日間の夕方から夜の時間を要した。
 
したがって、著者による推理の種明かしが鮮やかな印象を以って納得できたわけではないが、うまい解答には感心する。科学的に実現可能性が保証されるとは思えないものの、理論的にはあり得そうな話であればよい。
 
火星と木星の中間の軌道を回っていた惑星の衛星(月)が5万年ほど前に、その母惑星の破壊、飛散により太陽の方向へ漂流し、地球の引力に捉えられ、その衛星(月)になったという想定など、よく思い付いたものだ。
 
地球から遠く離れた星で人間とうり二つの生物が存在する(した)ことなど、生物進化の理論に照らして、確率はほぼゼロであることを論拠としての最終結論の出し方は至極まっとうであると思う。
 
自然科学を信奉すると自負する当方ながら、時々神秘の念に打たれて悦に入ることも嫌いではない。ちょっとした偶然に嬉しくなるという他愛の無い性癖だ。今日は、本書p.262 の次の記載に喜びを覚えた:
 
「ナヴコム・ガニメデ特別調査団、V.ハント報告。地球標準暦2029年11月20日」
 
この日付、10年後の今日まで生きながらえているかどうか、微妙だななどと夢想する。

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