ケネス・タナカ(2017/8/26(土)、2017/8/27(日))が日本語で書いた「アメリカ仏教 仏教も変わる、アメリカも変わる」(武蔵野大学出版会 2010.5)を拾い読んだ。アメリカ人による仏教の受容の仕方が日本人のそれと異なるのは当然であると思うが、改めて感心する。
生まれたときからどっぷりと仏教漬けで育った日本人が訳も無く仏教の作法を身に付けるのと違い、アメリカ人は合理主義に基づいて仏教を受け入れ、変革する。仏教に限らず、宗教が広がっていく過程では多かれ少なかれ同様な現象が起きているのだろう。
毎度のことながら、本論から離れた挿話の方に惹かれてしまう。例えば、芥川龍之介の有名な童話(?)「蜘蛛の糸」(1918)は、アメリカ人ポール・ケーラス PaulCarus (1852-1919)が著わした(1895)説話を鈴木大拙が翻訳出版(1896)したものを素材としていることなど、恥かしながら初めて知った。
また、世界中の仏教徒が使用している「仏教旗」なるものがあり、これは、もともとセイロンの指導者たちが作った三角形のものを、アメリカ人ヘンリー・スティール・オルコット Henry Steel Olcott(1832-1907)のアイディアで長方形に変えたもので、仏教の教義を表わす五色の旗だそうだ。