某日、某所、老人たちの≪歌う会≫で童謡「花咲爺(はなさかじじい)」が取り上げられた。歌い進んで二番、“かわらや せとかけ ~”に差し掛かってグッと詰まった。歌詞が違う。“かわらや かいがら ~”となっているではないか。
ボケを自認しているとは言うものの、そこまで没落しているとも思われず、帰宅してからネット検索すると、“せとかけ”一色だ。そんな筈は無いと辿り着いたサイト≪http://www.d-score.com/≫で、やっと救われた:
花咲爺(花咲かじいさん) 石原和三郎
一、うらのはたけで、ポチがなく、しょうじきじいさん、ほったれば、
おおばん、こばんが、ザクザクザクザク。
二、いじわるじいさん、ポチかりて、うらのはたけを、ほったれば、
かわらや、せとかけ (※) ガラガラガラガラ。
三、しょうじきじいさん、うすほって、それで、もちを ついたれば、
またぞろこばんが、ザクザクザクザク。
四、いじわるじいさん、うすかりて、それで、もちを ついたれば、
またぞろかいがら、ガラガラガラガラ。
五、しょうじきじいさん、はいまけば、はなは、さいた かれえだに、
ほうびはたくさん、おくらにいっぱい。
六、いじわるじいさん、はいまけば、とのさまの、めに それがいり、
とうとうろうやに、 つながれました。
※ : 「かいがら」に変更あり
当方が「花咲爺(はなさかじじい)」を覚えた頃は“せとかけ”であったことは明らかになった。ボケでなくてホッとした。しかし、四番で“またぞろかいがら、ガラガラガラガラ”となっているのは、どうしたことか。
大体、“貝殻”の擦れ合う擬音が“ガラガラ”では、しっくりしないではないか。“ガラガラ”は、やはり“瓦礫”にふさわしい。もっとも、近頃は木質系の廃棄物も“がれき”と称する風潮が有るので要注意だ。
ともかく、“せとかけ”がいつ“かいがら”に変わったのか、四番は始めから“かいがら”だったのか、調べなくては気持ちが収まらない、とばかり、原典に当たることにした。ウィキペディアにより、原典は≪幼年唱歌初編下巻≫と判ったので、いつも重宝するサイトを参照した:
そして、見事にうっちゃりを食らった。“かわらや、かひがら、ガラガラガラガラ”とあるではないか。四番も勿論“またぞろかひがら、ガラガラガラガラ”だ。
混乱に拍車を掛けるが如く、一番、四番とも“せとかけ”とするサイトまで見付けてしまった(世界の民謡・童謡)。このサイトでは、出版物画像には“せとかけ”とあり、歌詞の書き出しでは“かいがら”となっているなど、混乱の極みである。