当方としては近年恒例の観のある“株主総会出席”で六本木の超高層ビル49階に上って来た。この会場にはいくつもの呼称が与えられていて、いつも混乱させられる。○○ヒルズ、○○タワー、○○アカデミー、????など。大規模集積施設だから、大分類、中分類、小分類それぞれの呼び名があるという事なのだろう。
さて、朝9時過ぎの地下鉄は混みあっているものと覚悟して出掛けたところ、駅の様子がおかしい。客の多いのは当然としても、流れが感じられず、停滞している感じであった。電車が遅れていることは直ぐに判った。しかし、構内放送での説明が無い。さてはサミット特別警戒の影響かと勘繰った。
やがて到着した電車は、意外にもスシ詰めと言うほどでもなく、窮屈ながらも乗車できた。しかし動かない。やがて、車内放送で、全駅に電車が溜っていて、何時発車できるか判らないとのこと。何故その旨を駅構内放送で知らせないのかと腹が立った。そうと知っていれば、そんな電車を20分も待ちなどしなかったのだ。
遅きに失したが、別ルートで出掛けることにした。結局予定より1時間近く遅れて総会会場のあるビルに着いた。そこでは、上階に行く人の持ち物を開けて危険物の有無をチェックしていた。「サミットのため」と言うので、「ここでやっているのか」とからかってしまった。大人気なかったな。
儀式に過ぎない総会の棒読み報告など聴く時間が短くなったことは不幸中の幸いだった。出席者への手土産品を、先に入場していた家人に渡し、直ぐに退室した。当方、実は、総会の意義を高く評価していない某株主に代って手土産品(千円程度?)を受け取りに行っただけの替え玉であった。どうせ暇な年金生活者だからと押し付けられた役目である。
総会会場から帰る途中に格安コピー店があり、明日某所で配る資料を用意するのに都合が良かったから、替え玉出席もさほど嫌ではなかった。
サミット出席の各首脳も手土産を携えて御帰りになると思うのだが、何か気の利いたものが用意できるだろうか。事務方の打ち合わせた通りにシャンシャンとスムーズに進行し、用意された共同声明だか宣言だかを読み上げるのだろうが、問題はその中身だ。
首脳が親しく顔つき合せて会談したからと言って、素晴らしい結論が出て来るものでもない。要するにサミットも儀式なのだ。毎年開催することが目的化しており、毎回その成果を宣伝することが当局のお仕事になっており、それが如何にも重要な国家的使命であるかの如く“万全な警備”を使命とする当局が街中の主役となる。