近頃の公的な図書館では、用済みとなった図書や定期刊行物などをリサイクル対象として無償配布するのが普通だ。リサイクルではないが、広報目的の刊行物の配布もある。頼りない年金で一家を養う当管理人は、これらを最大限に活用する。
きょうは「メーユ通信」第3号という面白そうな薄い冊子を頂いて来た。読み易いヴィジュアル系で、内容も素人の興味を惹く海産物の話題が中心だ。
“ニュースレター「メーユ通信」第3号刊行!
ニュースレター「メーユ通信」第3号を刊行しました。
今回は、海の栄養や魚たちの行動に影響を与える「海流」についての特集や、
生態系の回復過程についてとりあげ、アワビのお話しや、
サワラのお話・おいしい食べ方もご紹介しています。
「街歩き」のコーナーでは、宮古湾「花見かき」の養殖漁業者であり、
我々の調査にもご協力いただいている、山根幸伸さんにお話しをうかがいました。”
帰宅して早速冒頭の≪生き物図鑑 アワビ≫から読み始めた。数日前、家人たちがアワビを話題にしていた。古くから一般に御馳走のひとつとされているのだが、ちっとも美味しくないし、(姿態が)気持ち悪い、などと評判は芳しくなかった。
読み進んで、オヤ、と引っ掛かった。次のような記述だった:
“~~~~~~~~~~~そもそもアワビは
二枚貝ではありません。アワビは二枚貝のよ
うな平たい貝殻を持っていますが、殻の頂点
から貝殻が巻きながら伸びる巻貝の仲間です。
巻貝は“軟体動物門腹足網(なんたいどうぶつもんふくそくもう)”に属する生物のこ
とを指しますが、“腹足”というのは~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~”
生物学を得意とするわけでも無いが、分類項目の名称ぐらいは記憶にある。“網(もう)”はないだろう。明らかに“綱(こう)”の誤りだ。“綱”と“網”は見間違い易い。つまり読み違い易い。しかし、分類の階級名は生物学の基礎知識に属するのだから、(専門家が)記述する際に間違える筈が無い。
だとすれば、専門家の原稿から印刷物に組み直される段階で、知識の無い編集者が(善意で)“訂正”した結果であるかも知れない。それにしても、発行前に試刷りを校閲するというプロセスは無いのだろうか。執筆者本人が読めば直ちに気付く誤りだ。
当該箇所のすぐ後に“なお、二枚貝の仲間の“足”はアサ
リのいわゆる“ベロ”の部分で、オノのような形
ということで“斧足”と言います。巻貝であるア
ワビの足と形が全然違いますよね。”とある。こちらの“斧足”の方こそ読み方(フソク)を示す必要があると思うのだが。
実は数年前にも同じ様な経験をした。花の構造のイラストで、“花穂”に“かほ”と仮名が振ってあった。タレントさんの芸名にでも影響されたのだろうか。読めない人の為にとの親切心は解るが、誤った知識を広められては困る。これは、ある組織の編集会議でのできごとで、間違いを犯したのは執筆者か、編集者か、不明のままうやむやにされた。