他人様から自費出版の歌集、句集をたまに頂くことがある。いずれも立派な装幀、製本で、意気込みの程も感じられ、有難く拝読する。
蔵書スペースが無いので、読後は、残念ながら廃棄処分とせざるを得ない。
最近拝読した歌集の中に、アリストパネスの喜劇「蛙」を題材とした一首を見た。古代ギリシャの喜劇作品は、その題名さえも知らなかった。このばあい、蛙は“かわず”と読む習わしらしい。
詠者は、喜劇「蛙 (Βάτραχοι)」の中に、“蛙の合唱”の場面があることに興趣を覚え、擬音語を盛り込んだものである。
ギリシャ語の和訳カタカナ表記で≪ブレケケケクスィ コアクスィ コアクス≫などとなるらしい。
某英語サイトによれば、現代ギリシャ語でのカエルの鳴き声は≪quak-quak≫だそうで、カタカナでは≪クワッククワック≫だろうか。
日本で有名な輪唱曲「蛙の合唱」では≪クヮ クヮ≫と表記されるようだが、上記と同じといってよいだろう。この≪クヮ クヮ≫の元はドイツ語の≪quak quak≫(クヴァック クヴァック)であると推察される。
古典ギリシャ語の蛙の鳴き声は≪βρεκεκεκὲξκοὰξκοάξ≫のように綴るらしいが、≪κοὰξκοάξ≫は現代語の≪クワッククワック≫と明らかに繋がっている。