深川和久「ゼロからわかる虚数」(KADOKAWA 2017.4)を図書館から借りて読んでいる。版元の紹介文:
≪方程式を解くために人工的に考えられた虚数が、実際の数字とも関係してくるのはなぜ? 自然数、分数、有理数…小学校のレベルから数の成り立ちを追い、不思議な実体にせまる! 読んでがつかめる一冊≫
と言うのだが、≪二乗するとマイナスになる≫不思議な数と言う方が普通人の自然な認識ではないか。少なくとも小生は今でもそのように思っている。しかし、便利な道具には違いないから、あまり深く考えないで受け入れているのが実態だ。
本書を読んだからと言って、虚数が実体のある数として納得できるかと言えば、そうではないと言わざるを得ない。ただ、負数や虚数の歴史を繙いて、それらを受け入れることが合理的、あるいは自然なことなのだと思えてくるだろう。
そのほか、虚数を巡る有用かつ興味深い幾つかの話題が取り上げられており、素人の科学ファンには好著としてお勧めだ。
ただし、数学書としては、数式のミスプリは頂けない。読み仮名の誤り(p.98)ぐらいは大目に見て貰えるだろうが、B3とB2の入れ替わり(p.101)などは無邪気な読者泣かせだ。
本書に触発されて湧いた疑問がある。自然数(1,2,3、、、)は飛び飛びの数であって、間が空いていると思い込んでいるのだが、これは当然のこととして議論の前提にしてもよいのだろうか。
数直線のイメージを植え付けられてしまった頭ではそのようにしか考えられないのだが、白紙の状態で数とは何かを考える時は、それほど簡単ではないような気がする。