≪三瓶政一朗『日本童謡全集』1974音楽之友社≫(既出 2017/3/20(月))で、もう一つの発見があった。相良和子/團伊玖磨「帽子の歌」というのが載っており(p.290)、そのメロディーをなぞると、どこかで聞き覚えたような、懐かしい気分になった。
思い出したのは、恐らく十年余りも前に某童謡を歌う会とかで教わった子守歌のようだった。作者など全く記憶にないものの、歌詞の一部は辛うじて浮かんできた:
“・・・それからかあさん どうしたの ・・・”
この断片で取り敢えず検索すると、たちどころに答えが出た:
≪こもりうた 野上彰作詞團伊玖磨作曲 1)むかしむかしよ北のはてオーロラの火の燃えている雪のお城がありました「それから母さんどうしたの」「だまってお聞きよいい話おはなしきいてねんねんよ」 2)「雪のお城のお庭には氷の花が咲いていて雪の小人が住ん ... NHK みんなのうた≫
高名な文学者と音楽家による、その名もずばり「こもりうた」だった。面白いことに、当方同様にこの歌の正体を探索する人が少なからずいることも判った。それだけ、この歌を耳にすることが多かったことを窺わせる。さすが、NHKの威力は侮れない。
さて、この件の発端となったのは、「帽子の歌」(ヘ長調4/4拍子)の第1,3小節である:
ソ・ソド・レミーミ・ミ | レ・ミレ・ドレーーーーー |
ラ・ラレ・ミファーファ・ファ | レ・レミ・レレーーーーー |
検索できた「こもりうた」のメロディーは次の通り:
小節番号そのままの対応でそっくりのメロディーであることが見て取れる。音楽家が自作お気に入りのメロディーを使い回すことはヨーロッパの歴史的音楽偉人にも見られるようであり、否定的に捉える筋は無い。むしろ、作曲者が身近に感じられ、好ましい印象が残る。
ただし、飽くまでも≪自作のメロディー≫に限る。先人の作品に触発された曲ならば、何らかの形でクレディットを明示するのが礼儀作法だ。
團伊玖磨の作品リストのサイト(http://www003.upp.so-net.ne.jp/johakyu/dan.htm)によれば、「帽子のうた」が1983年の作に挙げられている。「こもりうた」は見当たらない。